*あの頃僕は風だった*
木の葉が風にそよいでいる
金色の光が降り注ぐ中
生まれたての赤ん坊が
その手に
何かを掴もうとするように
静かに揺らいでいる
穏やかな夏の昼下がり
心にふと遠い日の記憶がよみがえる
あの時僕は風だった
君の傍らを吹き抜け
結んだ髪をほどいたりした
そんな時君はきまって
困ったような顔をしたけれど
すぐに優しく微笑んでくれた
僕は君の柔らかい髪を
梳かすのが好きだった
あの頃…僕は
自由に野を駈け巡る
奔放な風だった

その時 緑の木の葉がキラリと光り
僕はまばたきをした