*春の駅にて*
今朝 長い冬の旅を終えて
春の駅に着いた
駅員のいない改札を抜けると
透明な光が私の体を包みこんだ
どこからか小鳥のさえずりが聞こえる
どこか遠くの方から……
否 私の胸の奥の方から
響いてくるようだ
ぶ厚い殻に包まれた心の内側に
何物かが息づき始めている
それは熱く膨れあがり
やがては殻を突き破って
空へ飛び立つだろう
その日が訪れるのを
今はじっと待っているのだ

長い旅の間
はだみ離さず抱えていた
大きなバックの中身は
もう空っぽだ
ファスナーを開いたら
いつか春の空気で一杯になるだろうか
そうしたらまた新しい旅に出よう
心の内に胎動し始めた
熱い息吹きに耳を傾けながら

今朝 長い冬の旅を終えて
春の駅に着いた
春の駅に着いた