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雨と障害者

当法人の設立25周年記念集会の記念講演として、大阪から自然災害で被災した障害者の支援活動に取り組まれているNPO法人ゆめ風基金代表理事の牧口一二さんをお迎えし、「地域で生きる」というテーマでお話をしていただきました。
実は牧口さんの講演をお聞きするのはこれが2回目となるのですが、さすが‘障害者感のイメージチェンジ’をめざし30年にわたって学校などでの講演活動をされているというだけあって、氏のお話はとても私の心に心地よく響き、あたたかく沁み渡っていきました。

イラスト 世間一般で忌み嫌われることの多い雨ですが、大地を潤し生命を育むには適度に雨が降ることも必要で、そんな雨と障害者を重ね合わせ、障害のある私たちもこの世界に欠くことのできない存在ではないかというお話が、特に強く印象に残りました。
これは一つの仮説というか考え方なのですが、そんな風に考えることで自分がとても無力で価値のない存在だと思い込んでいる仲間たちが、自己信頼を回復し誇りある人生を送られるのではないかと思います。
社会の中での自分の居場所や存在理由を見出せなくて、鬱々としたものを抱えていた十数年前の私にとっても、それはきっと大きな救いになったかもしれません。

「人は皆かけがえのない存在」とか「生きている人間が、生きている人間の存在価値を決めることはできない」なんて話を度々耳にしますが、理屈ではそれは分かっても、心の底からそれを受け入れ、共感することはなかなかできませんでした。
でも、この雨と障害者を重ね合わせるお話は、とてもやさしくてしっくりきました。

私たち障害当事者だけでなく、障害のない人たちにもこういう考えが理解され、広まっていくと良いと思います。
そうすれば、「市民の合意が得られない」という理由で、福祉サービスの支給決定量や予算が削られることも少なくなるのではないでしょうか。

そして障害のある私たち自身も、自信と誇りを持つ一方で、自分たちは多くの障害のない人たちに支えられ、この世界の中で共存しているということを忘れず、そのことに感謝しながらその人なりの形で他の誰かを支えていけると素敵だと思います。

(2014年3月9日記)

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